この記事では、大阪府大阪市のJR今宮駅・南海電鉄今宮駅がある全国からわけありの日雇い労働者が集まる地域として全国的に有名な「あいりん地区」について、概要や治安、現在の様子をそれぞれ詳しく紹介します。
大阪市民の間では、愛隣地区は治安が悪く、危ない場所だから近寄らないように子供のころから教育されていて、大阪に住んでいても足を踏み入れることは少ない場所として恐れられているエリアです。
しかし、ここ数年の間に関西国際空港から電車で1本という好アクセスの立地を活かして、バックパッカー向けのおしゃれなホテルや飲食店が増えるなど、以前と比べると治安が良くなりました。
あいりん地区について知りたい方はぜひ最後までお読みください。
あいりん地区とは?
大阪府大阪市西成区の北部のJR新今宮・南海新今宮の南側にあるエリアを「あいりん地区」といいます。
以前は釜ヶ崎という地名で、現在はある程度治安が良くなったと言われている地域ですが、高度経済成長期から2000年代にかけて、日雇い労働者による暴動が多発しており、大阪府内だけでなく、全国的にあいりん地区は治安が悪い場所だというイメージが定着していました。
あいりん地区の歴史
元々は田畑が広がる農地で、名護町(現在の大阪市浪速区)から強制的に移住させられた人たちを収容するために宿泊客が住む「木賃宿」が作られました。名護町はかつて「日本でも治安が悪い場所」とされており、そこの地域から多くの人が移ったことがあいりん地区の治安が乱れた原因でしょう。
第二次世界大戦により、現在のあいりん地区のほとんどが消滅しましたが、「アクセス」の項目で詳しくお伝えしますが、立地条件が良いこともあり、1950年代には周辺のドヤ街を吸収して大きく成長しました。
その当時は、あいりん地区の住民の4割が定職に就いており、それ以外の6割は無職や日雇い労働者だったようです。
西成暴動
中間搾取されていた日雇い労働者達の不満が爆発したといったいくつかの説がありますが、1961年に西成暴動が起こります。その後、2008年までに合計21回暴動が発生します。
その結果、行政は就労をサポートするための西成保健所分室や不就学児対策としてあいりん学園を設置しました。
それらが設置されてから大規模な暴動が起こることはありませんでしたが、強盗などの犯罪は依然として後を絶たない状況でした。
その後、バブル崩壊によって西成あいりん地区に変化が訪れることとなります。
バブル崩壊
バブル崩壊前は、日雇い労働者に対して就業支援を行うことができていましたが、バブルが崩壊すると就業支援を満足に行うことができなくなりました。
バブル崩壊後のあいりん地区はそれまで「日雇い労働者の街」と言われていましたが、「福祉の街」と呼ばれるようになりましたが、福祉が充実したからではなく、労働問題より生きていく問題が表立ったことが理由です。
あいりん地区の現状
昔は治安が悪く、よそ者がフラッと歩けるような場所ではありませんでしたが、2012年に橋下徹元大阪市長が主導となり「西成特区構想」がスタートしたことにより、西成区が抱える多くの問題を解消するための取り組みは現在も着々と進んでいます。
元々、宿泊者が泊まるためだった木賃宿や簡易宿泊所をおしゃれなホテルやゲストハウスにリノベーションしたり建て替えたため、コロナ以前の2018年ごろから海外からの観光客が大勢宿泊に訪れたり、国内旅行者も多く訪れたことで、依然と比べると大幅に治安が良くなりました。
また、西成あいりん地区に住んでいる日雇い労働者が徐々に高齢化しているため、血気盛んな頃は犯罪や暴動を起していた人たちも最近は暴動や犯罪を起すことなくおとなしく生活しているのが現状です。
未だに、世間からは「西成のあいりん地区は危険、危ないから近寄ってはいけない」というマイナスのイメージを持っている人は多いですが、一部の人たちからは大阪の観光スポットとして人気の場所とされています。
あいりん地区の地名の由来
マイナスのイメージを払拭するために、1996年に日本国と大阪市、メディアが地名について議論を重ねた結果、愛の隣と書いて「愛隣(あいりん)地区」と決定して呼ばれるようになりました。
あいりん地区の治安
あいりん地区は、昔と比べると治安が良くなったと言われていますが、現在でも恒例の労働者やホームレスが酒を片手に街を徘徊している姿を見かけたり、酔いすぎて路上で寝ている人がいるなど、普段の生活では味わうことがない独特の雰囲気に包まれている場所です。
現在のあいりん地区
20年前は、以下のような犯罪がどこかしこで多発しているような地域だったようです。
- スリ
- ひったくり
- 盗難(自転車が主)
- 暴力団によるドラッグ取引
行政などの努力によって地域の治安が回復し、現在では普通に歩くことができたり、飲食店で食事を楽しめる地域として評価されています。
4人に1人が生活保護を受けている
あいりん地区に住んでいるほとんどの人は生活保護を受けて生活をしていますが、支給されたお金でパチンコや酒に浸る人が多く社会問題として取り上げられています。
朝日新聞デジタルの2021年10月に投稿された「自助、共助といわれても やり直せる社会つくるにはどうしたら」の記事によると、西成区の生活保護受給率は7月時点で22.69%で、国の1.63%、大阪市全体の4.83%とされており、西成区の受給率は突出して高いです。
不正受給が横行
不正需給が横行しており、生活に困った路上生活者に声をかけて劣悪な生活環境と仕事を提供した挙句、むりやり生活保護を申請させた後、支給されたお金を不正に奪い取る生活保護ビジネスが存在するのが実態です。生活保護ビジネスについてはニコニコニュースのこちらの記事をご確認ください。
あいりん地区以外の日雇い労働者が住む地域(国内)
日本には愛隣地区以外にも日雇い労働者が住む地域がいくつか存在します。あいりん地区のような地域には、日雇い労働者の人が住むための簡易宿泊所がいくつもあり、「ドヤ街」と呼ばれます。(ドヤは宿(やど) をさかさまに読んだ言葉です)
あいりん地区以外の有名なドヤ町は以下の2つです。
- 東京南千住山谷地区
- 横浜寿町
あいりん地区を加えた3つの地域は日本3大ドヤ街として知られています。
あいりん地区へのアクセス方法
あいりん地区は、JR新今宮駅や南海新今宮駅、動物園前駅、阪堺電鉄新今宮駅が最寄り駅となります。いくつもの路線が通っている地域なので、訪れる人は少ないですが、難波や天王寺、梅田から乗り換えなしで行けるので交通の便は非常によいといえます。
阪堺電鉄新今宮駅で降りると正面があいりん地区となります。
大阪のシンボルでもある通天閣からも近く、度胸がある人は自己責任で訪れるのも良いでしょう。
前述でお伝えしましたが、現在はおしゃれなホテルが建っており、京セラドームやヨドコウ桜スタジアム、大阪城ホールまでもJRや地下鉄を利用して乗り換えなしで行くことができるのでイベントやスポーツ観戦するために府外から大阪へ訪れる際はあいりん地区に宿泊すると便利だといえます。
西成あいりん地区の見どころ
西成あいりん地区にはどんな場所があるのか見どころとしてご紹介します。西成は治安が悪い場所のイメージはありますが、地元の人が住む住宅地もあれば居酒屋などの飲食店も存在します。
西成警察署
西成警察署は高いフェンスに囲まれている外観で、治安の悪い海外にあるような物々しさを感じます。
前述でお伝えした通り、西成暴動など過去に何度も日雇い労働者による暴動が発生しているので、投石などから守るために防御を固めているのでしょう。
三角公園
萩之茶屋にある三角公園は、公園とは名ばかりで子供が遊べるような場所ではありません。こちらの公園はホームレスが住む場所で、そこら中にバラックが建っています。昼間からお酒を片手に酒浸りしているホームレスの姿をよく見ます。
公園には街頭テレビがあり、西成の人たちはこのテレビから世の中のニュースをキャッチしています。番組は24時間NHKが流れています。
公園の周辺にはいくつもの施設が存在しており、その中の一つ社会福祉フランシスコ協会が運営する「ふるさとの家」では、談話室が解放されていたり、無料でラーメンを配る活動がされているほか、2階では生活保護受給者を対象に無料で散髪サービスを提供しています。
お酒を持ち込まなければだれでも利用することができます。
動物園前商店街
動物園前駅からすぐの場所にある動物園前商店街もあいりん地区の一部です。動物園前駅2番出口からすぐの商店街入口には動物のモニュメントがあり、商店街自体は昭和の雰囲気が漂います。
近くには、通天閣や天王寺動物園があり、大阪名物串カツのお店がたくさん並ぶジャンジャン横丁がありますよ♪
高齢者の方が利用することが多い商店街なのでしずかな落ち着いた雰囲気です。商店街は自転車を全力で漕いで移動する人がいるので気を付けましょう。
安売りと派手な装飾で全国的に有名なスーパー玉出もあります。こちらのスーパーは、外国人に不法就労させたり、毒処理していないフグを販売するといった話題に事欠かない大阪の名物です。
販売している商品は安いですが、都市伝説として変な油を使用している等の噂があるので、食べるには勇気がいります。
カラオケ居酒屋
あいりん地区にはカラオケ居酒屋が多くに本人以外に中国人が経営していることもあります。ここ最近で急激にカラオケ居酒屋が増えています。
バックパッカー向けのホステル
あいりん地区ではここ数年で急激にバックパッカー向けのホステルが増えており、他の大阪市内よりも安く泊まれるという理由で人気です。
ホステル以外にも、あいりん地区らしくないおしゃれなホテルが建っており、このようなきれいな建物が多く建設されることにより、西成あいりん地区のイメージが改善されるかもしれませんね♪
簡易宿泊所
ドヤ町と呼ばれる所以である簡易宿泊所は、日雇い労働者が1000円から2000円ほどで宿泊するための宿で、あいりん地区にある簡易宿泊所では、生活保護の申請手続きのサポートや介護の相談を受け付けているなど生活に関するサポートを行っているところもあります。
安く泊まれるというメリットがありますが、簡易宿泊所では、ドラッグや麻薬を使用した人が部屋で死亡するなどトラブルが多く起こっています。
簡易宿泊所は大体3万円ほど支払えば1か月間宿泊することができます。
まとめ
今回は、大阪府大阪市のJR今宮駅・南海電鉄今宮駅がある全国からわけありの日雇い労働者が集まる地域として全国的に有名な「あいりん地区」について、概要や治安、現在の様子をそれぞれ詳しく紹介しました。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。
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